Conbio2017 ② 人気者?

 

以前の記事に引き続きConbio2017の二日目のレポートをしていきたいと思います。前の記事で紹介した内容の説明は省いていたりするのでこの記事からご覧になる方は、先にConbio2017①の記事から読んでいたけたほうがわかりやすいと思います。

 

二日目、前述とは違いビジネスホテルに止まっていたのでいつも研究室に行くときよりも遅く起きて、ゆっくり朝ごはんを食べることが出来ました。朝ごはんは大事です。ここでいっぱい食べて脳みそを叩き起こして学会に向けて頭の準備をします。学会では、普段よりも幅の広い話が聞けるので、わからないこともありますし、ポスターで議論をするとなるととても頭を使います。それに今日は我が研究室の大半の人がポスター発表を行います。皆それぞれが気合を入れて会場へ向かいます。

 

私と後輩たちは同じホテルに宿泊していたので、朝から一緒に朝食をとり、ポートアイランドに向かいました。やはり前日に他の発表を聞けたのもあって初めての学会となる後輩たちもあまり緊張していない様子でした。また、先輩たちからもポスター発表にむけてアドバイスももらっていたようで、だいたいのイメージはついていたみたいです。むしろ私のほうが「後輩たちちゃんと受け答えできるかな?」「練習のときに直したところ覚えているかな?」「ちゃんと来た人の名前とか覚えられるかな?」「てかポスター持ってきてなくね?」と言った感じで他人の心配ばかりしていました。。。。ちょっと待ってください、最後のは心配ではないです、ポスターがありません。

 

発表に使うポスターは大会に行く前日に大学で大きなプリンターを使ってA0サイズの大きなものを印刷して持っていきます。A0サイズの紙となると結構な大きさとなるため、専用の筒に入れて会場まで持っていきます。今回は9人ものメンバーが発表であったので全員分のポスターを一つの筒に入れて後輩が運んでくれていました。でも、今日は、ありませんでした。昨日はしっかりと持っていたポスターがなぜか後輩の背中にありませんでした。めでたしめでたし。おしまい。

 

そんなんで終わるわけもなく、ホテルの部屋に全員分のポスターを忘れた後輩は慌てて鳥に向かい、気づいたのも早かったので幸いにも遅れたりすることはありませんでした。ポスターがなかったら何しに来たのかわかりませんからね、私たちはポスター発表のために神戸に来ているのです。

 

ポスターも無事に到着し、各自が自分の与えられたスペースにポスターを貼っていきます。ポスターはなかなか大きくて扱いづらのでみんなで貼って周りました。ここに来るまでの数週間で一生懸命作り上げたポスターが会場に並んでいるのを見ると、ついに来たのだなと、ここで発表するんだ、頑張ろうという気持ちが湧いてきます。学部生なんかはここを目標に研究を頑張り、ポスター作りも今までに無いくらいに熱を入れて取り組んできただけに色々と感じるものもあったでしょう。ポスターをA0サイズで初めて印刷するときもその仕上がりに感動しますが、会場に展示するときの感動はまた違った良さがあります。

 

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このような感じで協力して貼ったり

 

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嬉しくてポスターの前でポーズを決めてみたり

 

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三人の場所が隣だったので一緒に写真を撮ったりと楽しくはしゃいでいました。

 

そして午前中は前日と同じく口頭発表があります。口頭発表は前回紹介したので今回はこの時間にも行われているまた別の企画を紹介したいと思います。

 

それが、企業ブースというやつです。学会の年会や国際会議などでは、実験器具や、サービス、試薬の販売などを行っている企業が製品の宣伝のためにブースで様々な企画を行っています。今回はありませんでしたが、前回の分子生物学会年会ではピペットのチップ詰めの速さを競う企画や、液体を正確に量ることを競うようなユニークなものもあり、見たい発表が無い空き時間もこのような企画ブースで時間を潰したりすることも出来ます。この日も午前中はスケジュールに空きがある人が割りといたので企業ブースを回りました。

 

企業ブースでは各企業のブース以外にもスタンプラリーが行われており、早速みんなで参加しました。商品もAndroidタブレットをはじめとした豪華なものだったのでこの人数なら誰か一人くらいあたるのではないかというそんな期待が有りました。

 

全員残念賞です。飴もらいました。美味しかったです。

 

 

私達の研究室では実験を行わずにデータベースや論文の情報からデータ解析をしている研究が半数以上です。こうしたいわゆるバイオインフォマティクスをやっているものからすると計測機器や試薬には馴染みがなく、説明を聞くだけでも面白いです。それに各企業ブースでもくじ引きやルーレットで景品がもらえるところも多く、とっても楽しめました。

 

午前中にはそれと今もちょっと名前の出てきたバイオインフォマティクスな発表も聞きに行きました。私達の研究室のメインであるバイオインフォマティクスは生物学と情報科学の融合で、解析法の進化からデータ量が膨大になっている生命現象の解明において近年特に注目されています。そこで感じたのが、生命の研究には情報のちからがまだまだ必要だというところです。なかなかどちらも専門性が高く、生物と情報の両方を高いレベルでわかっている人がまだまだ貴重だそうです。実験で得られた大量の情報をどう扱うかというところが非常に難しく、発表の中には情報処理(プログラミングなど)が得意ではない人のために、データの解析を自動化するような発表もあり、生物学と情報処理は切っても切れない関係になりつつ有るというのを感じました。私達の研究室はまさにその生物学と情報科学をうまく扱っている研究室で、そのために私達の発表は予想外に多くの人に注目されていたりします。

 

 

そこで思い出して頂きたいのが前回の記事で紹介しましたこの大会のためのスマホアプリです。このアプリ、自分で聞きに行く発表のスケジュールを立てる事ができるのですが、逆に自分の演題が何人の人にスケジュール登録されているのかも見られてしまうのです。ということは発表が始まる前に自分の発表に何人くらい来るのか大体予想がつくわけです。これだけ大きい規模の学会ですから、人気のある発表は多くの人で溢れかえり、ポスターの前がアップル社新製品の発売前みたいになることもあります。逆に、あまり人気がないと発表時間中ずっと自分と会話するなんてことにもなります。

 

そしてこの日は私達の研究室のメンバー8人の発表です。上で書いたようにバイオインフォマティクスエピジェネティクスと注目される要素を沢山含んでいるのでスケジュール登録数がみんなとても多く、人で溢れかえることが期待されます。私達の研究室で一番多かった発表で36人ものひとがスケジュールに登録していたようです。これはなかなかの注目度合いです。私はこのアプリが配布されるパターンは3度目になりますが、ポスター発表でここまでの人数を集める発表はそうそう見かけるものではないと思います。これは発表にも気合が入ります。

 

そしていよいよ発表の時間です。それぞれが持ち場について発表を始めます。ポスター発表はポスター番号の奇数番が始めの半分の時間で行い、残りの半分の時間が偶数番のポスター発表となります。私は偶数番で後半に発表だったので他のポスターを見回りながら後輩たちの発表を暖かく見守っていました。後輩たちの発表はスケジュール登録数にも現れていたようにとても人気でポスターの前に人だかりが出来ていました。私はその人だかりの後ろからながめていたのですが、研究室で一生懸命に練習していた内容をたくさんの学者の前で堂々と発表する後輩たちの姿を見て感動しました。ちょっと前は内容もうまくまとまらずに発表も恐る恐るだった後輩たちが私でもちょっと身構えてしまうような年齢の高い(たぶんえらい)人を相手に自身をもって話をしているのですからすごく成長したものだと感心しました。

 

前半が終わると今度は私の発表です。後輩たちにも負けないくらいにスケジュール登録されていますし、それこそ学会自体8回目の私からすると慣れたものです。ここでバッチシ決めて後輩たちにかっこいいところを見せてやりたいところです。

 

 

しかし、ひとは、こなかった。

 

 

最初の30分くらい誰も来ませんでした。正確に言うと後輩たちと私達の研究室の教授が来ました。結局あとになって私の発表を聞きに来てくださった方はいたもののなかなか不完全燃焼な発表でした。後輩に暇してるところ見られたのは予定外でした。頑張ります。そうとは言ってもやはりポスター発表は盛り上がるもので、来てくださった数人の方とはとても有意義な議論を楽しく行うことが出来ました。ポスター発表楽しいです。

 

いろいろありましたが各自無事に発表を終えることが出来ました。それぞれが思い思いの議論をしてとても大きなものを得たと感じています。終わったあとはポスター発表の乾燥で盛り上がったり、貰った意見や疑問などから自分の研究について考え直したりと、研究室のみんなで話し合っていました。

 

この日もポスターのあとには口頭発表があり、各自が好きなものを聞きに行ったり、企業ブースのくじ引きでハズレを引いたりしました。自分の発表が終わった後というのは達成感があり、他人の発表もまた違った視点で見ることが出来たかもしれません。自分の発表で力を使い切ってへとへとなのもありますが。

 

この日はとてもいろいろ有りましたがここで2日目が終了です。前日は学生のみんなで寿司を食べたり食べなかったりしましたが、この日は重要なイベントが控えています。

 

虫の集い。虫の集いとは、モデル生物である線虫C. elegansを用いた研究を行っている研究者で構成される会です。聞くところによると結構な歴史を持っており、伝統的にずっと続いているそうです。このC. elegansという生き物はノーベル賞を取った研究に使われていることが幾つかあり、この虫の集いが結成されてから2つの研究がこの生物を用いてノーベル賞を受賞しているそうです。また、別のノーベル賞受賞にも関わっているとのことで結構すごいんです。

 

そんな虫の集いなのですが、分子生物学会の年会が行わる際には決まって懇親会が開かれます。全国から線虫を扱っている学者が揃って参加するので、懇親会では普段は論文などで名前を見かけるような有名な方とも話すことが出来ます。また、学生も多く参加するので、他の研究室との交流も行えます。私達の研究室のメンバーはそれぞれが様々な人と話して交流を行っていました。そのあと懇親会はとても盛り上がり、最終的には3次会まで行われました。ノリの良さに定評がある私達の研究室は結構な数のメンバーが3次会にまで残って話をしていました。このようなところで人と人のつながりを作っておくのも大切です。研究する上で個人の力には限界があるので協力してもらえる人がいればいるほど心強いものです。

 

ここまで読んでくださった方も感じておられるとは思いますが、この日はとても充実した日で、ポスター発表も懇親会もとても楽しむことが出来ました。その分とても疲れもありますが、大会は後2日あります、まだまだ頑張っていこう。と話しながらホテルに向かう私達でありました。

 

 

長かったですがこんな感じで2日目終了です。

次の記事で完結させようと思います。

お楽しみに★