NGS使っています

  NGS (Next Generation Sequencer)とは、日本語で次世代シーケンサーです。シーケンシンサーとは、DNA配列(A,T,G,C)を決定する機械です。それにより、用いたサンプル (ヒトの細胞など) の中にどんなDNA配列がどれだけ含まれているかが分かります。DNAは、私たちの体の全ての細胞に存在するもので、DNAの情報に基づいて体の細胞や、器官、臓器が作られます。そのため、DNAは「体の設計図」とも呼ばれています。つまり、DNA理解することはとても重要なことなことです。

 

 私たちの研究室にある次世代シーケンサーは、illumina社のMiSeqです。単なるシーケンサーではなく、"次世代シーケンサー"です。最先端の技術がこの機械には詰め込まれています。従来のシーケンサーに比べて桁違いに高速に、多くのDNA配列をシーケンシングすることができます。すごい機械なんですが、結構高いです。

 

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 今週は、そのNGSを使った実験を行いました。私たちの研究室では、モデル生物である線虫C.elegansを用いて研究しています。モデル生物はヒトと似た体の仕組みを持っているので、それを研究して明らかになったことがヒトにも応用できます。C.elegansの初期胚でどんな遺伝子(特定の機能を持ったDNA配列の領域)がどれだけ含まれているかを解析することで、初期胚発生のメカニズムの解明を目指しています。

 

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 NGSを使うために開けてみると、サンプルや、シーケンシングに必要な試薬をいれる場所があります。シーケンシングを行うのは、フローセルの中の数ミリ程の小さなレーンです。毎回実験をするたびに、技術のすごさに驚きます。

 

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 一晩程でシーケンシングは終わり、約2万個の遺伝子の情報を得ることが出来ました。この膨大なデータを情報科学の力を用いて解析します。私たちの研究室では、一般的に想像される研究 (生物や薬品を使った実験)だけではなく、コンピューターを使った研究も行っています。そのため、プログラムを書いて膨大なデータを効率良く解析することが出来ます。

 

 

 また、NGSはとても繊細な機械なので定期的にメンテナンスが必要です。例えば、NGSの洗浄です。試薬を作って、NGSに入れるだけで自動的に洗浄をしてくれます。最先端の機械なのでメンテナンスも楽にすみます。

 

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 私たちの研究室でC.elegansの初期胚発生を研究をしている人は、主にNGSを使っています。私もNGSを使っているのですが、コンピューターを使った解析は苦手です。今後は、膨大な遺伝子のデータをコンピューターを使って効果的に解析し、初期胚発生の理解につながるような研究を出来たらいいなと思っています。 (O.Y)